2009年10月2日金曜日

建築夜楽校2009第一夜・感想

今年も建築夜楽校に行ってきました。今年のテーマは「データ・プロセス・ローカリティ」で今日は第一夜「データとプロセスの関係を考える」。モデレータ藤村龍至、濱野智史、パネリスト難波和彦、小嶋一浩、山梨知彦、中山英之、江渡浩一郎(敬称略)

レビューというよりは僕の感想、考えたことを少し、忘れないうちに。

今回の議論はこの前のカルティベートトークと同じく、@siskwさんによるtwitter実況が行われました。同じ場で話を生で聞き、後でTLを見ると重層的に理解できて面白いです。

昨年に引き続き登壇した日建設計の山梨知彦さんはBIM(Building Information Modeling?)を使った設計を紹介。話はBIMをひとつの中心として展開しました。おそらくチーム山梨が使っているのはArchiCADではないかと思うのですが、使ってみてわかるけれど、そんなにサクサク設計できるわけじゃない。だから小嶋さんの言っていた「BIMを車に例えると、山梨さんは天才ラリードライバー。操るために天才的な勘が必要。」ということは非常に納得。山梨さんだからこその生産量なのだと思います。

BIMのようなデジタル設計ツールが進化すると、建築家はいらなくなるのでは?という問いが冒頭に濱野さんから、後半にmosaki田中さんから出ていました。誰でも自分の家は自分で好きなように設計できるようになるでしょ、と。でも、これは今日の結論でもあったと思うけれど、僕は建築家はなくならないと思います。
なぜなら、BIMを立ち上げる以前の「問題」を設定するのは建築家でないとできないと思うからです。中山さんであれば「クローバーに着目するところ」であるし、藤村さんであれば超線形設計プロセスにおけるあの最初の「クリアすべき条件の表を作成するところ」であり、その仕事は建築家でなくてはできないことだと思うのです。
僕らが学校で学ぶべきなのはこの「問題を捉え、どのように解決するか」という建築的思考力を鍛えるということだと考えています。だから、東大でのIAESでも話題に上がった、学生へのコンピュータ設計教育はあまり重要ではないと思うし、逆に山本理顕さんが常日頃言っている地域社会圏というのは、最初のパラメータをどこに見るかという話なのではないかと思います。
確かに、自分の家の問題ならば自分が良く分かるかもしれませんが、そこに他の人が使用者として入ってくると、また別の問題系が出てくるでしょう。ではそれを考えるのは誰か?と逆説的に考えるとそれはやっぱり建築家なのではないかなと思います。

だから藤村龍至さんの最も作家性(というか個性?)が発揮されるのはあの表(なんかキャッチーな名前はないのですか?)を作る段階にあるのであって、たくさんのスタディ模型を並べるところではないのだと思います。ビジュアル的には模型のほうがキャッチーではありますが。
超線形設計プロセスではないにしろ、クリアすべき条件の表というのはおそらくどんなカタチにせよ設計の最初にはみんなが設定するもので、実はその表は建築的思考力を鍛えた人々でないとつくれないのだと思います。その表を作った結果、考えることが多くなっちゃって、最大最速の効率を得る(つまり社会にその建築を具現化する)ためにBIMを選んだのが山梨さんで、色鉛筆を選んだのが中山さんなのだ、と思いました。

そのほか、パフュームとバグルス、初音ミクの例えなど面白い話がいろいろありましたが、今日自分のまとめとしてこんなことを書いておきたいなと思いました。

また来週、第二夜にも期待です。

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