2010年6月21日月曜日

photo of yutenji,omori,sajima

最近見させて頂いた建築の写真をば。

北山恒先生の祐天寺の集合住宅。


学会賞を受賞した洗足の連結住棟の進化版と言った形で、プライベートとパブリックという操作が本当にスマートに完成していて、実際の建築で先生の思想を教えてもらったような感じです。しかしこの建築が完成するまでに資本主義との格闘や工事凍結からの雑誌掲載という紆余曲折を経ているそうです。そんなことはどこにも書いてないし、直接先生に聞ける、作品を見れるということ以上の体験はないですね。
北山先生には苦笑いされながら「まあ小泉は早く進路決めてくれ」と言われてしまいましたが。



ブルースタジオ設計による木造賃貸のリノベーション、大森ロッヂ。


大家さんの矢野さん。大森ロッヂを他のどこにもない賃貸住宅にしているのはこの方の豊富な経験、人柄ゆえだと思います。
裏手はスタジオ付き住居で結構現代的な仕上げです。
意外だったのがスタジオ付きを借りられるかたはいわゆるクリエイターでない普通の人が多いということ。僕らは固定観念にしばられているなと思いました。



tvkの建築NOWのロケで伺わせていただいた吉村靖孝さん設計のnowhere but sajima。
最近の是非見たい建築の一つでした。
高い施工精度も相まって、風景の切り取り方が最高です。
住宅特集の表紙にもなっていたので、一般住宅かと思っていたのですが実は一週間貸しの別荘とのこと。吉村さんの奥様が経営なさっているnowhere resortシリーズの一つなんだそうです。
奥様も元々は靖孝さんと設計活動をされていたのですが、出産を機に設計はやめてリゾート経営にシフトしたそうです。そのときに、日本にはこういったデザインされた貸しリゾートがないことを知ってこのnowhereシリーズ(あと二つzushiとhayamaがあります)をつくったのだとか。借りるのはそんなに安くはないですが、リピーターや連続して何週間か借りられる方もたくさんいらっしゃるようです。しかしこういった空間や自然に囲まれた休暇を過ごすのは、本当に豊かだと思います。

いつも建築NOWで同行させていただいている西田司さんに聞いた話しですが、この土地はもともと水産系の倉庫があったところらしいのですが、その売主の人が建物が建ったあとにここを見て、もう一度売り直してほしい、と申し出があったそうです。
さすがに売り戻しはされなかったようですが、元の地主さんにとっては見慣れた風景を、この建築は変えて、もう一度手に入れたくなるようなものにしたというのはまさしく建築の力なのだなと。

最近twitterでの建築クラスタの議論にどうも食傷気味なんですが、結局こういう実感がなかったり、建築を通して何がしたいっていうのが見えてこないからなのかなと思ったり。

肩書きはないし、決まったスケジュールも所属もないけど、こうやっていろんな人に会ったり建築を見せてもらったりすることは課題をやるよりも何倍も勉強になっていたりします。
自分は何をしたいのか、つまりどんな手法をもって世の中を変えたいのかと毎日悩んでいます。そのために何を学ぶのかを考えることが、どこの大学院で何をやるかということに直結してると思うんですよね。