2009年12月11日金曜日

リ・サーチ


ワタリウム美術館で行われた対話実験第11回、藤村龍至氏×Mike Ableson氏「リ・サーチ」。
司会・モデレートは藤原徹平氏。

僕は個人的に藤原さんのお誘いを受けてほぼ毎回ビデオ係りとして参加させて
いただいでいます。対談後の館内での軽い打ち上げにも参加させていただいていてとても有意義かつ役得です。まあ終電後もアツイ話は続くので帰れなくなることは多々ありますが。

では今日の感想を超ザックリと。適当な感じになってしまったら申し訳ありません。

実はというか、何気に僕は藤村さんのレクチャーを聞くのはもう3回目くらいです。藤村さんの「批判的工学主義」や「超線型設計プロセス」についても10+1 48号に掲載されたころから拝読しているので、自分の中でもある程度は考えてきたかなと思います。
藤村さんの主張はいくつかの「共感され具合」のフェーズがあって、まあそういった半ば
テンプレ化した反論がしょっちゅうある(毎日のようにw)のもわかります、というか最近自分でもなにかやる度に周囲の反応がテンプレ化しているので「藤村さんの言っていたことはこれか」的な感じですw

で、ここからは超訳感想です。
マイクさんはポスタルコというブランドでデザイナーとして活動されていますが、その解剖学的、工学的発想が非常に面白くそれがとても刺激的でした。製品をたくさん見せてくれながらのプレゼンもとてもよかった。
chance printerというダンボール製の箱の中にペンキがついたゴルフボールを落として、それが中の棒に跳ね返ってランダムなドットをプリントするというプロジェクトはまさに「偶然性を誘発するようなアーキテクチャを設計」しており、それは大量生産品でありながら(低コスト)、デザインはみな違う、というある意味で批判的工学主義とも響きあう部分があったのではないでしょうか。
あとは魚の顎は実はとてもメカニカルに出来ているということを模型製作を通して発見している、というところも面白かったです。
そういえばマイクさんのデザインの落としどころに「オモシロさ」っていうのがあったのですが、それは個人的にとても共感しました。(過去ログ:オモシロカッコイイ
ただ僕はなんでオモシロいことがいいのかまだうまく言語化できないのでそこにはジャンプがありますね。

藤村さんのプレゼンを見ていて思ったのは、「これは不利だなあ」ということです。そもそもプロセス論自体が、BIGのビャルケのようにあえてアイコン的に説明もできないし、なんとなく共感できそうな身体的な感覚の話でもないので説明というか難しい言い回しが多くなってしまう。「空間のハナシせえよ」とツッコミも毎度入るわけで。
僕は超線型プロセスはその建築とか都市にかかわるステークホルダーズを如何にハブらないで巻き込んで制作(政策)プロセスを透明化しよーか、という話だと思っているのでそういう展開になってしまうのは仕方ないのかもしれません。ていうかできた空間の良し悪しって竣工写真とかから感じるほかないのだから、それって写真家の腕にかかってる気もするんですよね。優秀な写真家の方々と知りあってみてよくわかったけど。まあ良い空間というのはあるんですけど、それを写真だけで判断してわかった気になっちゃうのは(で、わかってないとdisる)、早計であるとしか言いようがない。みんなが体験できるわけではない以上、このハナシは共有しづらい。

あと不利な点といえば、「巻き込み、盛り上げる」論なのにBUILDING Kという建物を例にしてしまうとプログラム的に要求されていたものが公共施設ではないためにその巻き込んで議論した結果が外からみている我々にとってはわかりづらいというとこですかね。
だけど「近隣説明会で模型見せて、西側住民の意見を取り入れて階高が下がった」って、みんな「それだけじゃん」て言うけど、隣に住んでる人にとっては自分の意見が採用されて日照が(法的にだけじゃなく)遮られないようになったなんて、楽しいし、ただの隣のビルなのにそれだけで愛せる気がしないか?
建築学生が雑誌見て盛り上がってないだけで、街は盛り上がってるかもよ?
なので僕はいつか藤村さんが市民館とか駅とかツーツーなものを作ってくれるのを待ってます。僕らもプロセスに参加し、公開されいつでも訪れることができるような。
でもプロセスのハナシがいろんな人にわかってもらえれば意外と早いかもしれないっすね。市民館を求めてる町の人たちから見たら「この人はわしらの話を聞いてくれそうじゃ」って感じで。

なので今回の僕的ハイライトは藤村さんがいつものように「建築と似ているのは政治(Politics)ですねー」と言ったら、マイクさんもすかさず「僕もそう思うよ!」と合意した瞬間ですね。いわゆるプロダクトデザイナーと呼ばれる人も建築という仕事に対してそういう大勢を取り込む広がりや奥ゆきを感じてくれている。それって幸せじゃないですか。建築を悲観する必要ないと思いますよ、全然。

フジムラ派とかプロセス派とかそういうのはどーでもいいなーと思いますが、そうじゃなくて僕が藤村さんをフォローしているのは「諸君、共に歴史をつくろう!」というノリゆえにであって、僕も僕なりのやり方で歴史を変革していく流れに参加したいし、もっと巻き込み盛り上げたい。
それこそDive & Moshで。


終わった後のカフェでの打ち上げは席が遠くておふたりと話せなかったけど、こんな感じのことを考えました。
藤村さん、マイクさん、関係者皆様、おつかれさまでした。ありがとうございました。

トークイベント終了後。人大杉wいつもこんなにいないけどみんな誘ったらなんかいつもいない人がすでにいっぱいいたという罠。


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