2010年11月1日月曜日

faifai「アントン・猫・クリ」

横浜、STスポットという小劇場で快快faifaiの演劇「アントン・猫・クリ」の最終日を見てきた。
快快の演劇はDVDで「霊感少女ヒドミ」を持ってるけど生で見るのは初めて。
今回の音楽は知り合いの安野太郎さんが担当。
写真は撮ってないけど、ちょっと感想。

話の内容は他愛も無い。というかとくに内容らしい内容はない。
アパートに住んでる住人たちが、近所によくいるアントンという名の野良猫(人によってはクリと呼んでいたりする)の相手をするというだけの話。
しかし話の進め方は普通じゃない。
役者たちは眼に見えている情景(劇の中で)をすべて音読し、部屋のようすを記述していく。
「ふとん。掛け布団。フローーーーリング。」のように。
他のお客さんにどうみえていたのかはわからないけれど、僕にデジャったのは安野さんの音楽映画というシリーズだ。


映像に写っているモノをスキャンバーの動きにあわせて演者が読み上げていくことで音楽を奏でようという試みである。
実は、この「アントン〜」は再演なのだが、快快と安野さんが出会う以前に作られた初演版は、Youtubeに上がっていたこれらの音楽映画からインスピレーションを受けて作られていたそうだ。そして今回実際にコラボレーションに至ったらしい。知り合ってから半年足らずで一本舞台を仕上げているスピードは本当に素敵だ。

今回の演劇はフラットな画面だった音楽映画を激しく動く役者が歌う、まさにミュージカルだと、最前列より前に設けられたパイプ椅子に座りながら勝手に思った。
立体的だ。
キャラの濃い登場人物たちも(役者は一人何役か演じる)、実在の人物をモデルにしていて、細かい設定もモデルにインタビューして回ったとおりに再現されている。その日常の濃い下町の人々も愛すべきキャラをしているし、言い回しや動きを追っかけるだけでも面白い。
だけど興味深かったのは、そんな猫をめぐる日常(べつにアントンが死んだりもしない)の、平凡なセリフをカットアップしてループさせたりリミックスしたりして、っていうのを人力でやってくのがすごい面白い。アルゴリズム体操のように四人の役者がそれぞれあるルールに沿っているけどバラバラに動いたりしゃべったりしているのが、あるタイミングでパシッと合ってくる(言葉が意味を持ってくる)のが脳の認知を司る部分をくすぐられてるようで楽しい。

解説つきの二週目ではそんなことは誰も説明しないからこっちが勝手に思ってるだけなんだけどね。まあファンキーな集団なんでみんなも一回見てみたらいいさ!
http://faifai.tv/faifai-web/

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